TPP参加交渉について、長尾たかしさんがいい論評をかいているので、
抜粋する。
「6つの意思」をオバマに表明して、果たしてアメリカが
OKを出すのかがみものである。聖域が無いのがTPPであり、
アメリカが聖域がある関税撤廃を飲むはずもなかろう。
この一件で日本の将来が決まってくる。
未来永劫、アメリカの属国になるのか
それとも凛とした国家として独立性が保たれるのか。
安倍政権を見守りたい。
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安倍総理が正式にTPP参加交渉に参加する事を決断しました。今、この局面にあって達は冷静に確認しなければならない事があります。それは、先般の日米会談で安倍総理がオバマ大統領に対して「我が国の6つの意志」を突きつけたという事実です。
・聖域なき関税撤廃を前提にする限り交渉参加には反対する
・自由貿易の理念に反する自動車等の工業製品の数値目標は受け入れない
・国民皆保険制度を守る
・食の安全安心の基準を守る
・国の主権を損なうようなISD条項は合意しない
・政府調達・金融サービス等は我が国の特性を踏まえる
この6つの条件はTPP加盟国側が日本を受け入れるに当たって相当高いハードルである筈です。TPP、もしくは、この参加国メンバーで構成される経済交渉に加入する事にメリットがあるのか──。
私は、メリットはないと思っています!
テレビでは相変わらず、農業の関税問題ばかり取り上げていますが、私達が憂慮しなければならないのは非関税障壁部門です。私が推測するに、「将来的にはもはや関税は関係ない、為替で儲ける」というのが、米国のホンネでしょう。
「ルールを作る側に立てるならばTPPに参加すべきであるが、我が国にはその交渉力が無いので参加すべきではない」
私は一貫してそう主張してきました。一昨年、あるTPP交渉に積極的なシンクタンクが主催する会合で、私がまさにこれと同じことを言った後、主催者から発言を求められた当時は“一兵卒”だった安倍先生が、
「私も長尾さんと同じ考え方です」
とおっしゃいました。要するに、「民主党政権では交渉力に問題がある」というご指摘でした。日米構造協議、年次改革要望書などで経済という側面で我が国を売り飛ばした事を反省していたのにもかかわらず、総理となられた今、真の保守政党に生まれ変わった自民党の総裁として、なぜ交渉参加を決定したのか。その背景を探ってみたいと思います。
政治の側面から考えますと、今最優先しなければならないのは、「安倍政権の安定」です。そして、この局面でTPPの問題は避けて通れません。参加交渉への是非だけを問う議論をしていたら、今まで民主党がゴタゴタやっていたようなステージと変わりありません。そこで、脱皮する必要があったのです。
また、夏に参議院選挙を控えているのに、TPPだけでなく、竹島・尖閣諸島問題、靖国参拝、慰安婦問題など問題が山積みです。良識的保守層は安倍政権に期待する反面、成果を急ぐあまり、場合によっては現政権に対して感情的になり、激しく批判してしまうのではないか。安倍政権中枢は、それを危惧していると推測します。
私は、こう言っておきたい。
良識的保守層のみなさん、ここは我慢です!!!!
与野党ともに、「打倒!!安倍政権」と密かに囁き始めている勢力が蠢いています。特に中国は、日本国内の保守勢力が反旗を翻して安倍政権を攻撃する事を願っているでしょう。
今ここで、そんな挑発に乗ってはならないのです。
なにより、安倍総理がTPP交渉に参加せざるを得ないと判断したのは、日米関係修復が喫緊の課題であることによる「米国への気遣い」が背景にあると思っています。避けて通ることのできない課題であるが故、冒頭の「6つの意志」を米国に突きつけました。
おそらく安倍政権の描く戦略はこんなでしょう。日本の国益を損ない兼ねない項目に対しては、我が国の意志を掲げつつ、結論を引き延ばしていく。交渉参加はしたが、参加国がこの条件を飲まなければ、交渉は決裂する。決裂というのは加盟交渉過程における1つの結果ですから、立派な撤退の大義名分となります。つまり、「6つの意志」が受け入れられなければ、堂々と撤退すれば良いのです。
これは民主党政権で当時論じられた撤退議論とは全く違います。民主党の人びとは「安倍政権は無策で決断した」と批判していますが、当時は条件すら出さずに交渉しようとしていたのですから。7月にも行われる参議院選挙で自民党が大勝すれば、その後、安倍政権がTPP加盟交渉に決裂しても、「責任を取るべし」とする世論もなくなるだろうと思います。これは、TPP参加阻止と安倍政権の長期化を願う良識的保守層のみなさまと共有しておきたいシナリオでもあります。
もう一度、言っておきます。
だから、ここは我慢なのです!!!!